示談金の算定には2つの基準がある
後遺障害等級が認定されると、その等級を前提に損害賠償を算定して示談交渉に入ります。
もちろん、完治によって後遺障害等級認定の申請はしないこともあります。
この際の示談金算定には次の2つの基準があります。
①「任意保険会社の示談額基準」
②「裁判所基準・弁護士基準」
被害者が加害者の保険会社と直接交渉する場合、基本的にはその「保険会社の示談額基準」で示談金の提示がなされます。
このとき、弁護士に依頼していれば、弁護士は「裁判所基準・弁護士基準」(裁判所の交通事故の民事訴訟で用いられる損害賠償算定基準)で損害額を算定し、これを基準に交渉します。
保険会社の示談額基準と裁判所基準・弁護士基準とでは大きな差が出ることが多く、弁護士に依頼したほうがメリットは大きいといえます。
なお、示談金の算定基準については、自賠責保険の基準もあります。
さまざまな費用が示談金に含まれる
主な示談金の内訳は、次のとおりです。
- 治療費(原則として、保険会社が先行して支払う)
- 通院交通費
- 看護料(医師の指示がある場合やケガの程度がひどい場合に認められる)
- 診断書作成費等
- 休業損害
- 傷害慰謝料(入通院の慰謝料)
- 後遺障害等級認定がなされた場合
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
これらの示談金のなかでも、以下のものが主になります。
- 後遺障害慰謝料
後遺障害等級が認定された場合のみ。 - 逸失利益
後遺障害等級が認定された場合のみ。
後遺障害が残ったことによって失った利益を意味します。
労働能力の低下によって得られる収入が減ることから、これを補償するために支払われます。 - 障害慰謝料
入通院した期間に応じて算定します。
加えて、「治療費」や「通院交通費」を自身で立て替えていた場合には、それらも示談金として加算します(領収証は、必ず保管しておきましょう)。
また、「休業補償」が支払われていない場合には、これも示談金として加算されます。
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示談でまとまらなければ、裁判や調停という方法もある
加害者側の保険会社との任意交渉(裁判を起こさずに裁判外で交渉を進めること)で示談がまとまらなければ、裁判を提起したり、調停(第三者の調停委員が間に入って裁判所で話し合いをすること)などで解決を目指すことになります。
その後、示談が成立したり、裁判で判決が確定したら、加害者側の保険会社から示談金が支払われます。
むち打ち症で他覚症状がない場合は別表2を使用します。この場合、慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として実治療日数の3倍程度を目安とします。
【表の見方】 入院のみの場合は、入院期間に該当する額(例えば入院3カ月で完治した場合は145万円となります。)、通院のみの場合は、通院期間に該当する額(例えば通院3カ月で完治した場合は73万円となります。)、入院と通院があった場合は、該当する月数が交差するところの額(例えば、入院3カ月、退院3カ月の場合は188万円となります。)が慰謝料の基準となります。