保険会社に支払いを拒否されてしまったら

自賠責保険へ直接請求する

加害者側の保険会社に支払いを拒否されてしまうことがあります。
たとえば、加害者が「保険の等級が下がるので嫌だ」と言ったなど、自己都合で任意保険の利用を拒否した場合などです。

このようなとき、被害者は加害者側の自賠責保険に対し、直接「治療関係費」「休業損害」「傷害慰謝料」を請求することができます。

ただし、自賠責保険の支給額はすべて合わせて120万円までとなります。

「治療関係費」については、被害者はいったん立て替える必要がありますので、金銭的な余裕のない被害者にとっては大きな負担となることがあります。

「休業損害」については、休業による収入の減少があった場合や有給休暇を使用した場合に、原則として「1日につき5700円」が支払われます。

休業損害が支給される日数は、実休業日数が基準となりますが、傷害の程度、実治療日数等を勘案して決められます。

たとえば、追突事故によってむち打ち症と診断され、約3か月間の通院治療を経て完治したとして、その間、36日間病院に通院して休んだとすると、5700円/日×36日=20万5200円という計算結果になります。

「傷害慰謝料」については、「治療日数1日につき4200円」が支払われます。

傷害慰謝料の対象となる日数は、実治療日数(実際に治療のために医療機関に通院した日数)×2で算出される日数と治療期間(治療開始日から治療終了日までの日数)の日数の少ない方を採用します。

たとえば、上記事案と同じくむち打ち症と診断され通院し、総治療期間が「100日間」で、実治療日数が「32日間」の事案を前提にすると、実治療日数「32日間」×2で算出した「64日間」のほうが、総治療期間「100日間」より少なくなります。

そうすると、4200円/日×64日=26万8800円という計算結果になります。

なお、治療終了後にすべての損害を請求することもできるほか、そのときまでに支払った分の治療費などを請求することもできます、傷害の程度によって「仮渡金請求」(前払い)をすることもできます。