自賠責保険

自動車損害賠償責任保険(じどうしゃそんがいばいしょうせきにんほけん)とは、自動車損害賠償保障法によって、自動車および原動機付自転車を使用する際、全ての運転者への加入が義務づけられている損害保険です。
加入が義務付けられていることから、強制保険とも呼ばれます。

原則として公道を走るすべての自動車と原動機付自転車は、この自賠責保険に加入しなければなりません。

平成14年4月1日から、自賠責保険は民営化されていますが、国土交通省によって厳格に管理されています。
民間の自賠責保険会社にもいくつか会社があり、一般の損害保険会社およびその代理店、JA共済、全労災等で加入手続きを行います。
現在は、バイクや自転車の自賠責保険であれば、コンビニ等でも加入できます。

自賠責保険の支払い基準

自賠責保険は人身事故のみの補償となりますので、物損事故についての補償等は一切ありません。
交通事故によって、あなたや相手方の車やバイク、自転車が壊れたとしても、その修理代金などは支払われません。交通事故による傷害の場合に支払われる自賠責保険の限度額は120万円であり、この120万円の中には次のものがあります。

怪我をした場合

  1. 治療費
    診察料・入院料・投薬料・処置料・柔道整復料等の費用
  2. 看護料
    入院看護1日につき 4100円(原則として、12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合)
    自宅または通院看護1日につき2050円(医師が必要性を認めた場合、または12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合)
    看護のために仕事を休むなど、上記以上に収入の減少が生じた場合は、立証資料に基づき実額を算定(近親者は19000円、近親者以外は地域の家政婦料金が限)
  3. 通院交通費
    通院に使った交通費
  4. 諸雑費
    入院1日につき1100円
  5. 義肢などの費用
    義肢・歯科補てつ・義眼・めがね・補聴器・松葉杖など(めがねは50000円+消費税が限度)
  6. 診断書などの費用
    診断書・診療報酬明細書などの発行費用
  7. 文書料
    交通事故証明書・印鑑証明書・住民票などの発行費用
  8. 休業損害
    事故による怪我のため発生した収入の減少 1日につき5700円
    上記以外に収入の減少が生じた場合は、立証資料に基づき実額を算定します(19000円が限度)。
    パートタイマーやアルバイトの方は、1日あたりの平均収入額より、5700円を下回ることがあります。
    有給休暇を使った場合や、主婦が家事に従事できなかった場合も対象になります。
    対象日数は、治療期間内の実際に休業された日数(事業所得者、パートタイマー、アルバイトや家事従事者は、原則として実際に治療を受けた日数)
  9. 慰謝料
    精神的・肉体的な苦痛に対する補償 1日につき4200円
    対象日数は【実際に治療を受けた日数(実治療日数)の2倍】と【治療期間】のどちらか少ない方
    ※あんま・マッサージ・指圧師・鍼灸院の施術は2倍の対象外
    計算例
    ①治療期間が30日間で、そのうち実治療日数10日の場合
    実治療日数10日×2=20日が対象日数
    ②治療期間が30日間で、そのうち実治療日数20日の場合
    実治療日数20日×2=40日だが、治療期間の30日を超えるので、対象日数は30日

後遺障害が残った場合

支払限度額:1名につき 75万円~4000万円

後遺障害は、介護が必要となる後遺障害か否かで次の2種類に区分けされます。
障害の程度を示す等級と、その等級ごとの保険金額(支払い限度額)が定められています。
過失利益(将来得られたであろう収入を後遺障害の等級に応じて算定)と慰謝料等(該当等級ごとに定額)が、支払いの対象になります。

死亡した場合

支払限度額:1名につき3000万円
過失利益(将来得られたであろう収入から生活費を控除して算定)と慰謝料(本人及び遺族ごとに算定)および、葬儀費用(60万円~100万円)が支払いの対象となります。