慰謝料はどうやって算定されるのか?

「物損」の場合、事故で壊れた車の時価額や修理費用のように、具体的な金額が把握できます。
また、「人損」の場合でも、事故で仕事を休んでいた期間の給料のように、具体的な金額が把握できるものもあります。

しかし、交通事故のせいで入通院したことなどに対する精神的苦痛(傷害慰謝料)は、被害者各人によって感じ方も違いますし、具体的な金額で表すことは困難です。

精神的苦痛に対する慰謝料の求め方

そこで、「入通院慰謝料算定表」を用いて、傷害慰謝料を算定することになります。

入通院慰謝料算定表は、「裁判所基準・弁護士基準」に基づいて作成されたもので、「別表Ⅰ」を原則的に用います。

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「別表Ⅱ」は、むち打ち症で他覚所見がない場合(症状を裏付けるMRIなどの画像所見がない場合などです)に用いることになります。

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そして、入通院慰謝料算定表は、「1か月単位(30日扱い)の基準値が示されており、端数は日割りで計算される」ことになります。

なお、「任意保険会社の示談額基準」でも同様の計算方法が用いられています。

しかし、基準値の低い入通院慰謝料算定表を用いており(基本的に非公開)、「裁判所基準・弁護士基準」とかなりの差がありますので、被害者が納得できる示談金を受け取れないという事態が生じるのです。

ケースによっては、特殊な計算方法も必要となってきます。
したがって、加害者側の保険会社から提示された「慰謝料提示額」が妥当かどうかわからなければ、示談をする前に、必ず弁護士などに相談してみましょう。

慰謝料はいつ請求できるのか?

「死亡慰謝料」(被害者自身の亡くなったこと自体に対する慰謝料やその遺族〔相続人〕の慰謝料を含みます)は死亡時、「後遺障害慰謝料」は後遺障害等級が認定された時、「傷害慰謝料」は症状固定時(または完治した時)に算定できることになります。

したがって、一般的には、死亡したとき、また、入通院が終わったとき(後遺障害が残る場合には、後遺障害等級認定の結果が出た時)に、加害者側の保険会社に対して請求可能となります。

症状によって、大まかな入通院期間は予想できる

死亡事故は別として、事故直後には、これからどれくらい入通院が必要になるのか、後遺障害が残るのかがわかりません。
したがって、治療が終わった時点にならないと、その事故でいくらの慰謝料になるかは明確にはわからないのです。

しかし、むち打ち症の場合は「3か月~6か月前後」、骨折などの重症の場合、手術のための入院期間とその後のリハビリ期間もふくめて「6か月~1年前後」の入通院期間になるので、慰謝料額のおおよそを算定することができます。